研究室での生活


研究テーマ

研究室に配属する時点から、個人ごとにテーマを持ちます。教員たちが用意するいくつかのテーマの中から選んでもよいし、我こそはと思う人は自分でテーマを考えても構いません。具体的な研究テーマを聞きたい人は、研究室を訪れてみましょう。さすがに、この場で未着手のアイデアを公開するわけにはいきませんので。

我々教員が出すテーマは最初のレールにすぎないので、途中からは自分で方向を見つけて走らねばなりません。研究とは未知へ挑戦することです。研究テーマが短期的にうまくいかない場合もあるでしょう。しかし、成功が保証されているテーマに研究する価値があるでしょうか? 研究テーマの価値は、(得られる成果の大きさ)×(成功の見込み)=「期待値の大きさ」で考えましょう。

セミナー

週に一度、金曜日の午前中にあるセミナーは、学生たちの生活リズムが夜型にずれることに歯止めをかけているようです。セミナーでは研究計画・成果の発表や文献の紹介をします。学生も教員も、年齢や肩書きに関わらず自由に疑問や意見をぶつけます。学問の場では研究者の意見は平等だからです。

研究に活路を拓く臨機応変な問題解決力は、マニュアル化できる性質のものではありません。その「芸」を盗むためには、目の前の同じ課題(データ)に対して他人が解決策を見い出す様子をライブで体験するしかありません。そのために私たちは研究室に集い、セミナーで議論するのです。

学会・論文発表

生態情報開発学分野では、1年目から研究成果を学会で発表し、投稿論文を作成するメンバーもいます。厳しいペースのようですが、ハダニのような知見の蓄積した材料を用いて、この研究室で教育を受ければ、難しいことではありません。このペースをこなすことで、外の世界で戦える競争力がつきます。大学院の定員に比べて、研究職や学術振興会特別研究員のポストがはるかに少ない現実がある限り、競争が起きるのは避けられません。研究者の能力は発表した論文で客観的に比べられます。速く論文を出したい学生にとって、先生が論文を校閲する速度が律速段階になります。先生の労働時間は有限なので、論文を書く学生の数が多いほど、先生の返却速度が遅くなるのは自明です。現在(2019年度)の生態情報の学生数は10名です。

実験室

総合館南棟5階に全ての居室と実験室が集まっていて機能的に研究ができます。飼育実験を行う実験室(1)実験室(3)、飼育室、DNA実験を行う実験室(2)があります。ちらっと覗いてみたい人は、ラボツアー を御覧ください。

デスクワーク

研究室に所属すると個人用の机が貰えます(当分野が超人気研究室になって毎年フルに4回生・修士の学生が入ってきた場合は、ごめんなさい、4回生は我慢してください)。多くの人はそこにインターネットに接続したノートパソコンを持ち、デスクワークをします。ここで好きなだけ「お勉強」できることが落とし穴にもなります。研究は知識を生産することですから、マニュアルが存在する「お勉強」とは異なる作業です。「誰も気付いていないこと」が教科書に載っているわけがありません。「オリジナリティーのある研究」をするためのマニュアルが存在するはずがありません。研究への不安からか、楽な「お勉強」に逃げる症例が多く見られます(統計、コンピューター、プレゼンテーション、英語、撮影技術、実験法、標本整理、文献集めetc.)。研究のための手段が目的化しないように気をつけましょう。

外出

春と秋の学会発表が年中行事になります。国内の学会は各地の研究機関の持ち回りで催されるので、ほとんどが泊まりがけの遠出になります。また、技術の修得や野外調査のために他の研究機関へ泊り込みで出かける人もいます。学会発表者には旅費の補助が出ます。

また、天敵防除実証研究や、野外個体群の採集など、野外調査も行います。 ラボツアーも参考にしてください。

時間の事情

週1回のセミナーを除けば、拘束時間はありません。やる気のある研究者にとって自由な研究環境は不可欠だからです。みんな好きな時間に来て、好きな時間に帰ります。学校に来なくても誰にも怒られませんが、そのツケを払うのも自分です。実験室と研究室は夜間・休日も利用できます。研究テーマが個人別なので、自分で時間を融通すれば、誰にも迷惑をかけずにアルバイトや課外活動、家事労働ができます。計画的に休めば長期旅行も可能です。もちろん気晴らしが本業にならない程度にお願いします。上記セミナーの項で述べたように、議論は自身の研究能力を高める上で重要です。できるだけ研究室に出てきて皆で議論することをオススメします。

増殖力が高い虫を飼うことは諸刃の剣です。材料がいくらでも手に入る利点と引き換えに、2~3日に一度の世話が必要です。でもこれは考えようです。虫の世話のために実験室に出てくる必要が生じるので、生活にリズムができます。どんなに忘れっぽい人でも、実験室に来て虫を見れば、前にやりかけていた作業を思い出せます。旅行や帰省の時は、虫の世話をお互いに頼みます。材料の勝手を知る人に世話を任せるので安心です。

進路と就職

多くの人が修士課程へ進み、さらにその一部が博士課程へ進んで研究を続けています。卒業生の就職先は、農水省傘下の国立研究開発法人や府県の農業研究機関、農薬/食品会社などの研究職に就く人が多い一方、広告会社や新聞社などのマスコミに文系就職する人もいます。前述のように研究時間をやり繰りできるので、ある期間だけ就職活動に専念することができます。もちろん研究もしっかりお願いします。